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明細書~国際出願~

明細書の記載要件

明細書は、以下の要件を満たすように記載しなければならない。

  1. 国際出願が、当業者が発明を実施するために必要な全ての技術情報を確実に含むようにすること。
  2. 発明者が達成した技術に対する貢献を、読む者が理解できるようにすること。

<関連法規>

国際出願ガイドライン 4.02;日本語
4.02
国際出願は、「当該技術分野の専門家(当業者)が実施することができる程度に明確かつ十分に、発明を開示」しなければならない。「当業者」の意味は13.11項で説明する。明細書は、必要であれば図面も用いて、この要件を満たさなければならない。明細書の内容に関する規定は、規則5に記載されている。これらの規定の目的は、次のとおりである。 (ⅰ) 国際出願が、当業者が発明を実施するために必要な全ての技術情報を確実に含むようにすること。
(ⅱ) 発明者が達成した技術に対する貢献を、読む者が理解できるようにすること。
(国際出願ガイドライン 4.02;特許庁)

明細書の書式

A4(21cm×29.7cm)の用紙に、1行40字詰めのであって、10~12ポイントまでのフォントサイズで以下の余白で作成する。

明細書の余白
位置 余白
  上端   2.0cm以上
  下端   2.0cm以上
  左端   2.0cm以上2.3cm以下
  右端   2.0cm以上2.3cm以下

日本の特許出願とは、タイトルや【】が使えないなど書式が異なるため、そのまま流用することができません。

<関連法規>

規則 11.6余白;日本語
11.6 余白
(a) 明細書、請求の範囲及び要約を記載する用紙の余白は、少なくとも次のとおりとする。
上端 二センチメートル
左端 二・五センチメートル
右端 二センチメートル
下端 二センチメートル
(b) (a)に規定する余白については、次の数値を超えないことが望ましい。
上端 四センチメートル
左端 四センチメートル
右端 三センチメートル
下端 三センチメートル
(c) 図面を記載する用紙については、その使用することができる面は、縦二十六・二センチメートル、横十七センチメートルを超えないものとする。用紙の使用することができる面又は使用した面の周囲には、枠を記載してはならない。余白は、少なくとも次のとおりとする。
上端 二・五センチメートル
左端 二・五センチメートル
右端 一・五センチメートル
下端 一センチメートル
(d) (a)から(c)までに定める余白は、A4判の大きさの用紙について適用する。したがつて、受理官庁がA4判以外の大きさの用紙を許す場合においても、A4判の大きさの記録原本及び、要求されたときは、A4判の大きさの調査用写しには、(a)から(c)までに定める余白をとる。
(e) (f)及び11.8(b)の規定に従うことを条件として、国際出願の余白は、その提出の際は、完全な空白としておかなければならない。
(f) 上端の余白の左隅には、出願人の書類記号を付することができる。ただし、書類記号は、用紙の上端から一・五センチメートル以内に付さなければならない。出願人の書類記号の文字数は、実施細則に定める数を超えてはならない。
(規則 11.6余白;WIPO)

明細書の記載内容

明細書には、以下のようなタイトルを付け、そのタイトルに即した内容を記載します。日本の特許出願とは一部タイトルが異なります。

発明の名称

願書の「発明の名称」と一致していなければならず、簡潔かつ的確な表現で記載しなければならない。

技術分野

出願には、関連する技術分野を明示しなければならない。

<関連法規>

規則 5.1;日本語
5.1 明細書の記述方法
(a) 明細書には、願書に記載されている発明の名称を冒頭に表示し及び次の事項を次のように記載する。
(ⅰ) その発明の関連する技術分野を明示する。
(ⅱ) 出願人の知る限りにおいてその発明の理解、調査及び審査に有用であると思われる背景技術を表示する。また、その背景技術について記述している文献を引用することが望ましい。
(ⅲ) 技術的課題(技術的課題が明白に記述されていない場合を含む。)及びその解決方法を理解することができるように、請求の範囲に記載されている発明を開示する。その発明が背景技術との関連において有利な効果を有する場合には、その効果を記載する。
(ⅳ) 図面がある場合には、図について簡単に説明する。
(ⅴ) 請求の範囲に記載されている発明の実施をするための形態のうち少なくとも出願人が最良であると考えるものを記載する。その記載は、適当なときは実施例を用いて、図面があるときはその図面を引用して行う。
指定国の国内法令が最良の形態ではなくいずれかの形態(最良であると考えられるものであるかどうかを問わない。)を記載することを認めている場合には、出願人が最良であると考える形態が記載されていないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。
(ⅵ) 発明の説明又は性質から明らかでない場合には、その発明の対象の産業上の利用方法並びに生産方法及び使用方法又は、単に使用されるものであるときは、使用方法を明示的に記載する。「産業」の語は、工業所有権の保護に関するパリ条約におけると同様に最も広義に解釈する。
(b) (a)に規定する記述方法及び順序は、発明の性質上異なる記述方法又は順序により発明を一層よく理解することができるようになり及び表現が一層簡潔となる場合を除くほか、遵守する。
(c) (b)の規定に従うことを条件として、(a)の各事項の前には、実施細則に示す適当な見出しを付することが望ましい。
(規則 5.1;WIPO)

背景技術

出願人が知る、発明の理解に有用であると思われる背景技術を記載する。背景技術について記述している文献、特に、特許明細書を特定することが望ましい。

<関連法規>

国際出願ガイドライン 4.05;日本語
4.05
明細書には、当該発明、及び当該発明と先行技術との関係を理解するのに有用であると思われる背景技術を、出願人が知る限りにおいて記載しなければならない。その際には、背景技術について記述している文献、特に、特許明細書を特定することが望ましい。引用する先行技術の詳しい記載要領については、この章の附属文書を参照。特に、クレームに記載された主題事項を定義するために必要であり、組み合わせにより先行技術の一部を構成するような発明の技術的事項に関する背景技術である場合に、その記載が必要となる(規則6.3(b)(ⅰ)及び5.05項参照)。
(国際出願ガイドライン 4.05;特許庁)

発明の開示

請求の範囲の記載を複写する。各請求項に対応する効果も併せて記載する。タイトルは、「発明の概要」とすることもある。

図面の簡単な説明

「第1図は変圧器のハウジングの平面図、第2図はこのハウジングの側面図、第3図は第2図の矢印X方向から見た端面図、第4図は第1図のAA線による断面図。」のように簡潔に記載する。
明細書中の番号と図面の番号とは互いに一致していなければならない。

<関連法規>

国際出願ガイドライン 4.08;日本語
4.08
図面を含めた場合には、「第1図は変圧器のハウジングの平面図、第2図はこのハウジングの側面図、第3図は第2図の矢印X方向から見た端面図、第4図は第1図のAA線による断面図。」のような方法で、簡単に説明しなければならない。明細書中で、図面に記載された要素を参照する必要がある場合には、その要素の番号と共に名称を記載すべきである。すなわち、参照は「3は4を介して5に接続される」ではなく、「抵抗器3はスイッチ4を介してコンデンサ5に接続される。」と記載する。
(国際出願ガイドライン 4.08;特許庁)

発明を実施するための最良の形態

実施の形態が最良であるか否かの判断は、最良の形態が開示されているとする推定と矛盾するような証拠がない限りは、最良の形態が開示されていると推定される。「発明を実施するための形態」でもよい。
発明が不十分であって、当業者が実施できないと判断される具体例は以下の通り。

  1. 発明の結果が偶然性に左右される場合(微生物の突然変異を含む処理)ただし、電子部品の製造のように、一定の失敗の可能性はあるにせよ反復性のある成功が保障されている場合は除く。
  2. 発明が十分に確立された物理法則に矛盾しており、発明を実施することがそもそも不可能な場合(例えば、永久機関)。

産業上の利用可能性

いずれかの種類の産業で、実施又は使用できる(技術的な意味において)場合、産業上利用可能であるとみなされる。

<関連法規>
(国際出願ガイドライン 第14章;特許庁)  (国際出願の手続き 第3節明細書の作成要領;特許庁)

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