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明細書~中国~

明細書

明細書の要件

明細書は、以下の要件を満たすように記載しなければならない。

  1. 明確性・・主題が明確であって、記述が正確であること
  2. 完全性・・発明を理解するために不可欠な内容、発明の創造性を担保するために必要な内容、発明を実施するために必要な内容を含んでいること
  3. 実施可能性・・当業者が明細書の記載に基づいて実施できる程度に記載されていること

<関連法規>

審査指南第2部 2.説明書;日本語
2.1 説明書が満すべき要件
専利法 26 条 3 項に、説明書では発明又は実用新案に対し、属する技術分野の技術者が実現できることを基準とした明確かつ完全な説明を行わなければならないことを規定している。
説明書で発明又は実用新案に対して行われた明確かつ完全な説明は、属する技術分野の技術者が実現できる程度になっていなければならない。つまり、説明書は、発明又は実用新案を充分に開示するとの要件を満たさなければならない。「属する技術分野の技術者」の意味について、本部分第四章第 2.4 節の規定を適用する。
2.1.1 明確性
説明書の内容は明確でなければならない。具体的には以下に挙げられる要件を満たさなければならない。13
(1) 主題が明確であること。説明書は、現有技術を基に、発明又は実用新案では何をどのように行うかを明確に反映しているもので、属する技術分野の技術者が当該発明又は実用新案で保護を請求する主題を確実に理解できるようにしなければならない。言い換えれば、説明書には、発明又は実用新案で解決しようとする技術的問題及び当該技術的問題の解決に採用される技術方案を明記するとともに、現有技術と照合した上で、発明又は実用新案の有益な効果を明記しなければならない。前述の技術的問題、技術方案及び有益な効果は、相互に適応しているものとし、相互に矛盾したり、関連しなかったりするような状況があってはならない。
(2) 記述が正確であること。説明書では、発明又は実用新案の属する技術分野の技術用語を使わなければならない。説明書での記述は、発明又は実用新案の技術的内容を的確に表現していなければならない。曖昧な、或いはどちらともつかない表現のせいで、属する技術分野の技術者が当該発明又は実用新案を明確、正確に理解することができなくなるようなことがあってはならない。
2.1.2 完全性
完全な説明書は、発明又は実用新案を理解、実現するために必要な全ての技術的内容を含まなければならない。完全な説明書は以下の内容を含まなければならない。
(1) 発明又は実用新案を理解することにつながる不可欠な内容。例えば、属する技術分野、背景技術に関する記述、そして説明書に添付図面がある場合の添付図面の説明など。
(2) 発明又は実用新案の新規性、創造性又は実用性を確定するために必要な内容。例えば、発明又は実用新案で解決しようとする技術的問題、その技術的問題の解決に採用された技術方案及び発明又は実用新案の有益な効果など。
(3) 発明又は実用新案を実現するために必要な内容。例えば、発明又は実用新案の技術的問題の解決に採用された技術方案の具体的な実施方式など。
技術的偏見を克服した発明又は実用新案については、説明書において、どうして当該発明又は実用新案で技術偏見を克服していると言えるのか、そして、新規の技術方案と技術的偏見との相違及び技術的偏見を克服するために採用された技術的手段を釈明しなければならない。指摘しておく必要があるのは、属する技術分野の技術者が現有技術から直接かつ一義的に得られない全ての関連内容を説明書で記述しなければならない。
2.1.3 実施可能であること
属する技術分野の技術者が実施可能であるということは、属する技術分野の技術者は説明書の記載内容に基づいて、当該発明又は実用新案の技術方案を実現し、その技術的問題を解決し、期待される技術的効果を獲得することができることを14言う。
説明書では、属する技術分野の技術者が当該発明又は実用新案を実現できる程度になるまで、発明又は実用新案の技術方案を明確に記載し、発明又は実用新案の具体的な実施形態を詳細に記述し、発明又は実用新案の理解と実現に欠かせない技術的内容を完全に開示しなければならない。審査官がもし、発明又は実用新案では充分に開示するとの要件を満たしていないことを疑う合理的な理由があれば、出願人に釈明するよう要求しなければならない。
以下に挙げられるのは、技術的問題を解決する技術的手段が欠け、実現できないものと判断される状況である。
(1) 説明書においては単に、任務及び/又は発想を記しているか、若しくはある願望及び/又は結果を示しており、属する技術分野の技術者が実施できる技術的手段を一切記していない場合。
(2) 説明書には技術的手段を記しているが、属する技術分野の技術者にとっては、その手段が曖昧であって、説明書の記載内容に基づきも具体的に実施することができない場合。
(3) 説明書には技術的手段を記しているが、属する技術分野の技術者は当該手段を利用しても、発明又は実用新案で解決しようとする技術的問題を解決できない場合。
(4) 出願の主題は複数の技術的手段からなる技術方案であり、その中の 1 つの技術的手段について、属する技術分野の技術者は説明書の記載内容に基づいて実現できない場合。
(5) 説明書に具体的な技術方案を記しており、実験上の証拠の記載がないに拘わらず、当該方案は実験の結果により裏付けられてはじめて成立する場合。例えば、既知の化合物の新規用途の発明について、該用途と効果を裏付ける実験上の証拠を説明書に記する必要がある。そうでなければ、実現できるとの要件を満たすことができない。
(審査指南第2部 2.説明書;JPO)
【引用】特許庁 外国産業財産権制度情報

明細書の記載事項

発明の名称

発明の名称は以下の点に留意して、記載する。

  1. 発明の名称は、願書の記載と一致していなければならない。一般的には25文字以内が好ましいが、特別な場合(化学等の分野)には、最大40文字まで認められる。
  2. 技術分野において通常使用されている技術用語を用いる。国際特許分類における技術用語を用いることが望ましい。
  3. 特許出願を分類し易いように、発明の主題とカテゴリー(製品又は方法)を明確、簡潔、全面的に記載する。
    例えば、あるファスナーそのものと当該ファスナーの製造方法という2つの発明を含む出願の名称は「ファスナー及びその製造方法」と記しなければならない。
  4. 人名、地名、商標、型番又は商品名などを使ってはならず、商業的宣伝用語も使ってはならない。

<関連法規>

審査指南第2部 2.2.説明書の記載方法と順番;日本語
2.2 説明書の記載方法と順番
専利法実施細則 17 条の規定によると、発明又は実用新案の専利出願の説明書には発明又は実用新案の名称を明記しなければならない。当該名称は願書にある名称と一致しなければならない。説明書には以下に挙げられる構成部分を含まなければならない。
(一) 技術分野:保護を請求する技術方案の属する技術分野を明記すること。
(二) 背景技術:発明又は実用新案の理解、検索、審査に有用な背景技術を明記すること。できれば、当該背景技術を反映している書類を引証すること。
(三) 発明又は実用新案の内容:発明又は実用新案で解決しようとする技術的問題及び当該技術的問題の解決に採用された技術方案を明記し、現有技術と照合した上で、発明又は実用新案の有益な効果を明記すること。
(四) 添付図面の説明:説明書に添付図面を有する場合、各添付図面について概略的な説明を行うこと。
(五) 具体的な実施の形態:発明又は実用新案を実現するために出願人が最良と思う方式を記載すること。必要な際は、例を挙げて説明し、添付図面がある場合は、添付図面と照合しながら説明すること。
発明又は実用新案の性質から、ほかの方式や順番によって説明書を作成すると、文面の節約、かつその発明又は実用新案への的確な理解につながる場合を除き、発明又は実用新案の説明書は前述の方式と順番に従って作成し、そして各部分の前に表題を書かなければならない。
発明又は実用新案の説明書は規範的な用語、明確な語句を使用しなければならない。「請求項…に記載されたように」などといった引用語や、商業的な宣伝用語を使ってはならない。発明専利出願に 1 つ又は複数のヌクレオチド又はアミノ酸配列が含まれる場合、説明書は規定に合致した配列表を含まなければならない。配列表の提出は第一部分第一章第 4.2 節を参照する。
(審査指南第2部 2.2.説明書の記載方法と順番;JPO)
【引用】特許庁 外国産業財産権制度情報

技術分野

明細書の最初には、保護を求める技術の属する技術分野を記載する。

背景技術

発明、実用新案に対する理解、検索、審査に有用な背景技術を記載する。可能な場合には、さらにこれらの背景技術に関連する特許文献等を引用して証明する。

発明の内容

発明又は実用新案が解決しようとする技術的課題及びその技術的課題を解決するための方法(技術方案)を明記する。従来技術と比べて、当該発明がもたらす有益な効果がある場合には、併せて記載する。

図面の説明

明細書に添付図面がある場合は、各添付図面について簡単に説明を記載する。添付されているすべての図面について説明しなければならない。

実施の形態

発明の実施に当たって最良と出願人が考える形態を詳細に明記しなければならない。必要に応じて実施例を挙げて、添付図面を参照しながら説明する。

<関連法規>

特許法第26条;日本語
第二十六条 発明又は実用新案の特許の出願には、願書、説明書及びその概要、権利要求書等の文書を提出する。
願書には発明又は実用新案の名称、発明者の氏名、出願者の氏名又は名称、住所及びその他の事項を明記する。
説明書では、発明又は実用新案に対し、その所属技術分野の技術者が実現できることを基準とした明確かつ完全な説明を行い、必要時には図面を添付する。概要は発明又は実用新案の技術要点を簡単に説明する。
権利要求書は説明書を根拠とし、特許保護請求の範囲について明確かつ簡潔に要求を説明する。
遺伝資源に依存して完成した発明創造について、出願者は特許出願書類において当該遺伝資源の直接的由来と原始的由来を説明する。原始的由来を説明できない場合、出願者はその理由を陳述する。
(特許法第26条;JPO)
 
細則17;日本語
第十七条 発明又は実用新案特許出願の明細書は発明又は実用新案の名称を明記し
なければならない。同名称は願書中の名称と一致しなければならない。明細書には以下の
内容が含まれていなければならない。
(1)技術分野:保護を求める技術の属する技術分野を明記する。
(2)背景技術:発明、実用新案に対する理解、検索、審査に有用な背景技術を明記する。
可能な場合には、さらにこれらの背景技術を反映する文章を引用して証明する。
(3)発明の内容:発明又は実用新案が解決しようとする技術的課題及びその技術的課題を解決するために採用した技術方案を明記し、さらに既存技術と対比して、発明又は実用新案がもたらす有益な効果を明記する。
(4)図面の説明:明細書に添付図面がある場合は、各添付図面について簡単に説明する。
(5)具体的な実施形態:発明又は実用新案の実施に当たって最良と出願人が考える形態を詳細に明記する。必要に応じて実施例を挙げて説明する。添付図面がある場合は、添付図面を参照する。
発明又は実用新案の出願人は、その発明又は実用新案の性質がその他の方式又は順序によって明細書を作成した方が明細書の紙幅を節約でき且つ他人にその発明又は実用新案を正確に理解させることが出来るものである場合を除き、前項に規定する方式と順序に基づいて明細書を作成し、且つ明細書の各部分の最初に表題を明記しなければならない。
発明又は実用新案の明細書は、用語が規範的で、 文章が明瞭でなければならず、また「請求項…に記載する…であって」のような引用文や、商業的な宣伝用語を用いてはならない。発明特許出願に一つ又は複数のヌクレオチド又はアミノ酸配列を含む場合、明細書に国務院特許行政部門が規定する配列表を含めなければならない。出願人は配列表を明細書の一つ単独した部分として提出しなければならず、かつ国務院特許行政部門の規定に基づいて、コンピューター読み取り可能な形式による当該配列表の副本を提出しなければならない。
実用新案特許出願の明細書には、保護を請求する製品の形状、構造又はその組み合わせを示す添付図面を備えなければならない。
(細則17;JPO)
【引用】特許庁 外国産業財産権制度情報

明細書作成上の留意点

明細書中では、「請求項…に記載する…であって」のような引用文を記載してはならない。実用新案特許出願の明細書には、保護を請求する製品の形状、構造又はその組み合わせを示す添付図面を備えなければならない。

要約書[Abstract]

要約書は、明細書の概略を示す書類である。単なる技術情報との位置づけであり、権利要求書の解釈には用いられない。

要約書作成時の留意点

要約書には、以下の内容を記載しなければならない。

  1. 要約書には発明の名称、所属する技術分野を明記し、解決しようとする技術的問題、当該問題を解決する技術方案の要点及び主要な用途を明確に反映しなければならない。
  2. 要約書の文字部分(句読点を含む)は300字を超えてはならない。
  3. 要約書には要約書の添付図面がなければならない。

<関連法規>

細則23;日本語
第二十三条 要約書には発明又は実用新案特許出願が公開する内容の概要、即ち、
発明又は実用新案の名称とその属する技術分野を明記し、かつ解決しようとする技術課題、同課題を解決するための技術方案の要点及び主な用途を明確に反映しなければならない。
要約書に発明を最も説明できる化学式を備えることが出来る。添付図面のある特許出願は、更に当該発明又は実用新案の技術的特徴を最も説明出来る添付図面を提出しなければならない。添付図面の大きさと明晰度は、当該図面が4cm×6cmに縮小された時にもなお、図面の中のディテールがはっきりと識別できるほどでなければならない。要約書の文字部分は300字を超えてはならない。要約書中には商業的宣伝用語を使用してはならない。
(細則23;JPO)
 
審査指南第1部 7.5項;日本語
7.5 説明書の要約書
専利法実施細則 23 条の規定に基づき要約書を審査する。要約書の審査は以下の内容を含む。
(1)要約書には実用新案の名称、所属する技術分野を明記し、解決しようとする技術的問題、当該問題を解決する技術方案の要点及び主要な用途を明確に反映しなければならない。特に当該実用新案が背景技術に比べて、形状と構造における改善を反映している技術的特徴を明記しなければならない。広告又は単なる機能的な製品紹介になるように作成してはならない。
(2)要約書は実用新案の名称を表題に使ってはならない。
(3)要約書に化学式又は数学式があっても良い。
(4)要約書の文字部分(句読点を含む)は 300 字を超えてはならない。
(5)要約書には要約書の添付図面がなければならない。出願人は、要約書の添付図面として、説明書の添付図面から選定された、実用新案の技術方案を反映できる 1 つの図面を提供しなければならない。
(審査指南第1部 7.5項;JPO)
【引用】特許庁 外国産業財産権制度情報

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